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カーボンキュア技術でCO₂を注入すると何が起こるのか?

 セメントと水がミキサーの中で出会うと、セメント粒子表面に薄い水和物(Ca(OH)2)の膜を形成し、1−3時間は水和の進行を妨げます。その間に流動性を保つことで生コンクリートを現場に運搬し、型枠に流し込んで締め固めを行う事が出来るのです。

 カーボンキュア技術は、その練り混ぜ開始直後から数分間に起こる反応に着目したものです。練り混ぜ時に直接ミキサーに注入されたCO₂は、水に炭酸イオンとして溶け込み、初期水和にセメント相に放出されたカルシウムイオンと結合してナノサイズの炭酸カルシウム結晶を形成します。

 この炭酸カルシウム結晶の形成は、生石灰に水を加えた消石灰に変わる際に起きる発熱反応と同じです。二酸化炭素の注入から60秒以内にセメント相の温度の上昇が確認され、水和量の増加が確認されました。1m3のコンクリート練り混ぜに水を180kg(骨材表面水を含む)用いた場合、初期水和でセメント相に溶解できる水酸化カルシウムの量は、僅か306グラムです。CO₂を注入することで一部の水酸化カルシウムは炭酸カルシウムへと鉱化し、飽和状態は解消され、水を生成し、さらに水酸化カルシウムの溶出を促進します。

 その後の水和反応は、通常のコンクリートと同じ道のりを辿ります。型枠に収まったコンクリートは、アルミン酸三石灰(CA)と液相に溶け出した石膏が反応してエトリンガイドを生成し、凝結が始まります。凝結が終結すればコンクリートの骨格の出来上がりです。さらに珪酸三石灰(CS)珪酸二石灰(CS)の水和へと進み、エトリンガイドの間隙を埋めて強度を増して行きます。

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徹底図解!カーボンキュア

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加カーボンキュア社と提携 CO₂除去技術を国内プラントに初実装

會澤高圧、コンクリートの脱炭素化を加速

 會澤高圧コンクリート(本社苫小牧市、社長:會澤 祥弘)は、カナダのカーボンキュア・テクノロジーズとライセンス契約を締結し、本年5月より、同社が開発したコンクリート産業向けの二酸化炭素リサイクル技術を国内で初めて実装します。

 産業界から排出されるCO₂を集収して液化し、これを生コンクリートの製造時に注入してCO₂をコンクリート中に永久的に固定化することで、コンクリートの実質的なCO₂発生量を削減します。同時に、生コン内に封じ込められたCO₂がナノレベルの鉱物を生成するため、硬化後のコンクリート強度をおよそ10%高める効果もあります。CO₂の封じ込めとセメント使用量の戦略的な削減を同時に達成できる脱炭素化の技術として、普及を進めてまいります。

 カーボンキュアは、2007年にRob Niven(ロブ・ニーブン)らが設立したカナダのブリティッシュコロンビア州に本部を置く環境テクノロジー企業。セメントの生産過程で大量に発生するCO₂をコンクリートに再注入し、より高強度なコンクリートを生産する技術開発を進めてきました。ビル・ゲイツ氏ら世界の富豪33人が共同で設立したファンド「ブレイクスルー・エナジー・ベンチャー」(BEV)や、アマゾン・ドットコム系の環境ファンドが投資しているほか、128日には三菱商事が同社に投資することを明らかにしました。

 当社は、カーボンキュア社と20207月にライセンス契約を締結し、札幌菊水工場(札幌市)の生コンプラントと、鵡川工場(むかわ町)の二次製品プラントへの技術導入計画を共同で策定して参りました。さらに産業ガス大手のエア・ウォーター(大阪市)などとCO₂の供給体制の構築で提携し、本年5月末をメドに同技術を使った低炭素コンクリートの供給を開始します。

 エア・ウォーターなどのCO₂サプライヤーは、化学工場などから採取したCO₂を純粋液化し、ローリー車で生コンプラントに設置された専用タンクまで配送します。カーボンキュア社は、専用タンクからCO₂を取り込んで最適な添加量をプラントのミキサー内部に直接注入する装置を当社に供与します。

 プラントでセメント、骨材、水などが計量され、ミキサーに投入された直後、ミキサー内部に直接注入された液化CO₂は空気に触れた瞬間に「CO₂スノー」と呼ばれる粒子となって練り混ぜ水に溶け込み炭酸イオンとなり、セメントから溶出したカルシウムイオンと結合して、400ナノメートルの炭酸カルシウム結晶を形成します。この「鉱物化」の効果により、硬化後のコンクリートの圧縮強度はおよそ10%増加します。

 注:Ca(2+)+CO₃(2-)=2CaCO₃
   カルシウムイオン+炭酸イオン=炭酸カルシウム

 通常のコンクリートより圧縮強度が増すため、セメント使用量を戦略的に減らしても要求される強度を満たすことができます。セメント使用量の適切な削減による配合修正で生産コストを低減させながら、低炭素型の、環境にやさしいコンクリートを供給することが可能となるわけです。

 当社では、CO₂の適切な添加量の把握や、強度の増進の傾向などを詳細に分析しながら、カーボンキュアを使った新たな配合設計やマーケティング手法などのビジネスプランを確立して行く考えです。

 脱炭素への対応が企業の競争力に直結する時代になりつつあり、シカゴの「Ozinga」やサンフランシスコの「Central」など当社と技術交流のある北米の大手生コン会社を中心に、すでに300を超える工場がカーボンキュアを採用しています。脱炭素の対応を急ぐ米国の自治体や空港運営会社等でも低炭素化コンクリートを指定する動きが広がっており、わが国でも同様の動きが今後加速するものとみられます。

 なお、当社の會澤祥弘社長は、低炭素化技術の国内実装について、以下のコメントを発表しました。

 「セメント由来のCO₂発生量は全体の8%内外を占める。セメント使用量をいかに戦略的に減らしていくかが脱炭素化のカギであり、セメント生産時の石灰石の焼成過程で排出したCO₂をナノ炭酸カルシウム(CaCO₃)に変換するカーボンキュアの技術は、石灰石焼成のリバース工程を実施するのと同じであり、大変ユニークだ」

 「コンクリートを自己治癒タイプに切り替え、需要そのものを戦略的に削減することが長期的には最重要課題だが、CO₂をコンクリート内部に封じ込める再固定化技術の普及を同時に急がなければ、2050年の実質カーボンニュートラル化は覚束ないだろう。三菱商事がカーボンキュアに資本参加を決めたことは、日本での展開を加速させる起爆剤となる。連携して技術の普及にあたりたい」


本プレスリリースのお問い合わせ先:

■會澤高圧コンクリート株式会社
 生産科学本部副本部長 酒井亨
 080-2863-4123
 
■アイザワ技術研究所
 主席研究員/シニアフェロー 中村 聖二
 080-5535-7841

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